天才作曲家モーリス・ラヴェルの最高傑作「ボレロ」。パリ・オペラ座で初演されて以来100年近く、時代と国境を越えて愛され続けている。
そんな音楽史において最も成功したベスト&ロングセラー曲を最も憎んでいたのは、作曲家本人だった――。
1928年<狂乱の時代>のパリ。深刻なスランプに苦しむラヴェルは、バレエの音楽を依頼されるも一音も書けずにいた。
失った閃きを追い求めるかのように、過ぎ去った人生のページをめくる。
戦争の痛み、叶わない美しい愛、最愛の母との別れ。引き裂かれた魂に深く潜り、すべてを注ぎ込んで傑作「ボレロ」を作り上げるが…。