渡辺儀助、77歳。大学を辞して10年、フランス近代演劇史を専門とする元大学教授。
20年前に妻に先立たれ、都内の山の手にある実家の古民家で一人慎ましく暮らしている。
現在は講演や執筆で僅かな収入を得ながら、貯金残高と自身の終わりの日をすり合わせながら生きている。
収入に見合わない長生きをするよりも、終わりを知ることで、生活にハリが出ると考え、日々を丁寧にそして平和に過ごしていた。
親族や友人たちとは疎遠になったが、元教え子たちとの交流は続いており、バーで若い女学生とのひと時を楽しむ余裕もある。
健康でいる為に食生活にこだわりを持ち、密かな欲望を抱きつつも異性の前では傷つかぬよう格好つけて振る舞い、亡き妻を想い人に迷惑をかけずに死ぬことへの考えを巡らせる。
遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。
だがそんなある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。
いつしかひとり言が増えた儀助の徹底した丁寧な暮らしにヒビが入り、意識が白濁し始め、やがて日々の暮らしが夢なのか現実なのか分からなくなってくる。
「敵」とは何なのか。逃げるべきなのか。逃げることはできるのか。
自問しつつ、次第に儀助が誘われていく先にあったものは――。

2/21(土)~2/26(木)

※急遽、上映時間等を変更させて頂くことがございます※

3/4(水)~3/6(金)

決まり次第のお知らせ
2/27(金)~3/3(火)は上映がございません
※急遽、上映時間等を変更させて頂くことがございます※

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA